外壁塗装は「資本的支出」なのか「修繕費」なのか

Q.外壁塗装工事を行った賃貸物件について、「資本的支出」で原価償却費として扱うべきか、「修繕費」として扱うべきか。

先日、杉田塗装にこのお問い合わせがありました。

確定申告の時期ですので、このあたりを気にすることも多いかと思います。

会社にお勤めの方はあまり気にされたことはないかもしれません。

個人事業主だったり経営者の方々は、どう扱うべきなのか、困った経験のあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

 

塗装会社の総務担当として、ずばりお答えしようと思いました。

しかし…

A.微妙なラインすぎて、断言できません!

そうなんです。

税法上の観念から、外壁塗装工事が、いったいどちらとして見るべきなのか、持っている知識とだけではわからず。

 

そこでありとあらゆる人脈・問い合わせ・文献などを利用して一夜漬けレベルですが勉強いたしました。


ここから先は、塗装会社の総務担当の個人的見解です。申告に当たっての責任等は一切負うことはできません。ご心配な方は、必ず、税理士さんや税務署のご担当者様とご相談・ご確認ください。


用語解説は省きます。資本的支出とか、減価償却費とか、修繕費の意味や内容は、検索すれば詳しく出てきます。

 

まず、外壁塗装工事って、何のために行うかという目的を考えます。

・壁の塗膜を塗り替えることによって、耐久性・防水性・対候性を復活させる

・ひび割れ等を直して、それ以上の劣化を防ぐ

・見た目がきれいになる

 

このあたりが目的です。

これをどう解釈するかで、ハッキリ言って見解が様々になると思います。


自分の中でのブレインストーミング

 

「修繕費」として見る派

・「建てた時のスペックに戻す」という原状復帰である

・ひびわれとか劣化したものを直したのだから「修繕」である

・築年数は変わらないし、塗り替えする前提での耐用年数である

・外壁の塗膜が劣化したら塗装するのは、家の持ち主としてごく当たり前の行為

 

「資本的支出」として見る派

・壁の耐久力が上がったのだから、グレードアップである

・住宅の耐用年数が延びるのだから、資本的支出である

・外壁塗装することで、建物の資産的価値が上がると解釈できる

・売る際に、汚い外壁よりきれいな外壁のほうが高値が付く


何というか…

どっちも筋が通るところがあるかと…

 

 

また、外壁塗装のグレードや性能についても様々なところがあります。

おおまかにですが

・アクリル

・ウレタン

・シリコン

・ラジカル

・フッ素

・無機

といった耐久性のグレードから

・遮熱塗料、断熱塗料

・光触媒

・防菌、防カビ

・におい吸収

など特殊効果のある塗料もございます(内装向け含む)

 

正直、細分化するとキリがないです。

見積Q&Aにも書いておりますが、どの塗装工事もオンリーワン、一つ一つ違いのあるものです。

 

なので、本当にざっくばらん、大まかに分けるとしたら…

・普通の塗装工事は「修繕費」

・「修繕」で収まらないグレードアップは「資本的支出」

と考えてみてよいのかと思います。

 

要は、劣化したり壊れたものを直す、いわゆる「原状復帰」の範囲のものは「修繕」である、と。

一般的な外壁塗装プランは、建てた際のレベルへの回復であると考えることができるというのは、筋が通ります。

建てた際のサイディングにせよモルタルにせよ、出荷した段階で塗膜だったり耐候性などがあるわけで、経年劣化した塗膜部分を塗りなおすわけですから、建物自体のグレードアップを目的としてはいないと考えることができます。

目的が通常の住宅塗装レベルであれば「修繕費」でよろしいかと考えます。

 

さて目的が、建物の資産価値を高めよう→グレードアップと捉えての外壁塗装の場合です。

グレードアップの例ですが、通常の窯業系サイディングから全面タイル張りにするとか、強度の高くて軽い屋根に葺き替えるとか、断熱材入りの壁に全面交換するなどの工事は、グレードアップと言えるのかなと思います。

本来持っていた家の性能と異なるものになるので、資産的価値が上がるのかと。

(個人的には、軒天がベニヤとか→ケイカル板に変更などは、修繕かと思いますが。耐火性能を現代基準にするためなので)

 

遮熱性能のある塗料なんかが、いわゆるグレーゾーンというか、どっちとも解釈の取れる難問であるかと思います。

「家の性能がグレードアップする」とも考えられますし、「遮熱だけでそこまで資産的価値が高まるとは言えない、新築時以上の価値が出るとは言えない」とも考えられます。

これは、正直言ってお手上げです。

逆に言えば、どちらも正論であり、お客様の都合の良い方を取ることもできてしまうのではないかと思います。

ここは、税務のプロに解釈をゆだねるのが正解、塗装会社が回答するべきではない事項だと考えます。

※ただし、超大規模なビルの外壁塗装ならともかく、一般住宅やアパートぐらいの大きさの塗装工事ですと、一般塗料と遮熱塗料の値段の差はありますが、微々たるもののような気がします。


ここまで、あくまで塗装会社の総務担当一個人の見解でございます。

 

全ては、この税法の解釈次第になると思われます。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm

国税庁ホームページ 第8節 資本的支出と修繕費

 

そこから抜粋

法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となる

とあります。

ここだけ読むならば、通常塗料の外壁塗装はやっぱり「通常の維持管理」と「原状回復」じゃないかな、と個人的には思います。

やらないとボロボロになってしまいますから、外壁って。

 

ご心配、ご不安な方は、国税庁の例示を読んでいただいて、関係各所にお問い合わせいただければと思います。

答えは千差万別かと思いますが、税法を悪用できる部分でもないですし、真摯に向き合えば正しい答えがきっと出てくると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です